理事長 東井上 陽平
水や風、情報、時間、感情など、流れると形容される様々なものは、普遍的で決まった形がありません。そんな流動するもののように、我々も移り変わる時代にあわせてしなやかに変化し対応していくべきだと考えます、流されるのではなく、流れに合わせて形を変える。そう、それはまさに「流が如く」。
我々の住む世界は、夢物語だと思っていた技術の実現や、社会をより良くしようとする働きかけによって物理的に住みやすくなっていますが、その反面、時代の流れという言葉にひとまとめにされ、非常識と捉えられかねない立ち振る舞いを認めつつある社会や、個人の価値観の押し付けともいえる権利の主張、SNS第一主義の視野狭窄などが問題視されています。目まぐるしく変化し、情報が交錯するこの社会で、何を信じて行動するべきなのか、今一度我々の指針を明確にする必要があります。
社会が成立するうえで、必要とされる「仁義礼智信」というものがあります。儒教の教えで「五徳」といわれ、それぞれ「仁」は人を思いやる心、「義」は正義と道徳観、「礼」は礼儀と礼節、「智」は智慧という感情に流されない力、「信」は信用信頼といったものです。長い歴史の中で人間社会の価値観の根幹となっている「五徳」というものは、現在の組織や会社の運営にも通ずるものであり、社会のリーダーたる我々青年経済人が大切にし、信条として行動することで、より強固な組織となりこのまちに大きな影響力を与えることができると確信します。
霧島JC は様々な機会を提供する組織である反面、与えられた役割と責任を全うするために必要な時間と費用、それと人間関係等を構築する仕組みについていまだ確立できていない現状があります。組織を構成する人間としての職務を全うし、JCのメンバーとして振舞うのであれば、与えられた役割の意味を理解し、やりがいを見出し、今までの自分の殻を破り、水の流れのように形を変えて対応する必要があります。
総務委員会が組織の要として全体のスケジュールを把握し、日程を精査したうえで、会員の個人負担を軽減できるような日時調整を行います。その中で、会員一人ひとりの職業や役割等を理解し、個人の能力が発揮できる機会を提供することで、やりがいが生まれメンバーである自覚をもち、組織の方向性を理解したうえで、自分第一にならず他者に心寄せる体系を築きながら、効率的で無理のない活動・運動を行っていくことで、好循環が生まれ、霧島JC が今以上に組織力を発揮できる組織となります。
第二次世界大戦の終戦から80 年、我々の住み暮らす社会は偉大な先人たちによって築き上げられた平和な国として、世界に認知されています。しかし、世界に目を向ければ、戦争中の国、紛争地域や、いつ戦争が起きてもおかしくない国家間などの不安定な国際情勢があります。国内でも昨年初頭から続く無慈悲な天災など、いつわが身に予測不能な事態が起こってもおかしくはない状況があります。
有事の際にどのように行動するのか、組織として何ができるのか、極限状態でこそ発揮される個人の正義感や、社会道徳の必要性とは何かを見つめ直し、自分のもつ正義感や社会への適応力を磨き上げる機会を創出します。どのような状況でも正しい情報を取捨選択できるように、疑似体験を重ね、有事に備えJC ならではの情報網や連絡体系を確立し、有事の際に地域の枠を超えた防災連携や先導力を発揮し、流れる風のように迅速に対応します。
テクノロジーの発展や価値観の多様化により、従来の礼節やマナーに対する意識が薄れてきています。特に、個人主義の高まりや人間関係の希薄化により、相手の立場に立って考え行動する力が不足しがちです。さらに、学校や家庭における礼節教育の不足や指導力の低下などにより、その場に応じた正しい行動を身につけにくい環境が存在します。また、礼節を重んじる世代の影響力が薄れ、若者層への良好な行動を示すことのできる人財が不足していることも懸念されています。
信頼関係を構築するうえで必要な礼節を知ることで、相手の立場を心から尊重できる青少年が育成され、個人の個性や特徴に敬意をもち、集団での秩序が正しく形成されることにより、社会全体の調和が保たれ、我々の住み暮らす地域の力は向上し、次の世代へと想いが引き継がれることで、時代は流れても、変えてはいけない社会的価値観が明確になり、それを大切にすることで、誰からも愛され、他人を敬愛する青少年を育成することができます。
昨年、霧島JC は九州地区で最大規模の事業である九州コンファレンス2024in 霧島を主管しました。九州コンファレンスが与えた経済効果には確かな手ごたえを感じている一方で、この先それ以上のインパクトを地域に与えることが難しいという課題もあります。地域に継続的な効果を与え続ける以上JCの構築する事業は普遍的で時代に応じたものである必要があります。
「知は力なり」という言葉があります。経験や観察によって得られた知識こそが人々の力になると主張しています。我々霧島JC も37 年の歴史の中で培った知の結晶と世間の感情に流されない理性を合わせて、智慧とすることで、まちづくりの本質のひとつである経済効果への期待度を高める効果を生み出します。霧島JC の活動エリアには、未だ活用されない数多くの地域資源が存在しています。霧島JC の歴史とそれを支えてきた風土、それらを活用して、どのような時代にも必要とされるまちづくりを行い、地域の魅力に触れてもらうことで、住み暮らす地域の人々の郷土愛を育み、霧島JC が常にまちづくりのための旗を掲げることで霧島JC の影響力を確立します。
どのような言葉を並べても、どんなに素晴らしい行動をしても、結局はそれを行うものに信頼関係がなければ意味はありません。信とは、仁義礼智の備わった組織にあると考えます。どのような時代も人を思いやり、様々な価値観を組織の方針によってまとめ、何事にも礼節をもって行動し、先人から受け継がれた智慧を用いてまちを変えていく、そんな組織である霧島JC だからこそまちに信頼され、これからも率先して「流が如く」行動し続けることで、明るい豊かな社会の実現へとまた一歩近付くと確信します。